歯科経営News Letter 【15号】

歯科コラム

人に伝える時に意識すること

チーフコンサルタント・村上貴洋

なぜあの人の言葉は相手に伝わるのだろう

 成果を出す人は、その理由となる特徴を持っています。その一つは「相手に伝える力」ではないでしょうか。最近の認知心理学や社会心理学ではそのヒントとなるテーマが研究されています。その中から、人間は2つの心を持っているという、2000年にスタノビッチとウエストが発表した二重過程理論をご紹介します。

人には動物的と分析的な2つの心を持っている

 2つのうち、1つ目の心は「動物的な心」です。何かしらの刺激に対して、「直感的に早く」反応するもので「システム1」と呼ばれます。2つ目の心は「分析的な心」です。「論理的で遅く」反応するもので「システム2」と呼ばれます。先にシステム1の反応があり、その後にシステム2の反応が続きます。

 例えば、一人で寝ている時に夜中に物音で目が覚めて、「何かいる?怖い!」と不安を感じるのは動物的なシステム1の反応です。その反応の後に「玄関は確かに施錠したし、物でも落ちたのだろう、大丈夫」と分析して自らを落ち着かせる反応がシステム2です。このように身の周りに起きることに対して、私たちの頭の中では常にこのシステム1とシステム2が鍔迫り合いをしています。

より大きな影響を与える、動物的な心

 では相手に伝えるときに、2つのどちらをより意識すれば効果的でしょうか?それは「動物的な心」です。動物的なシステム1は生まれつきに備わっているもので誰もが持っているものです。対するシステム2は後天的で意識しているかどうかの個人差があります。

 したがって、他人に考えや行動の変化を促すコミュニケーションをとる際には、誰もが持っていて個人差が小さい、動物的なシステム1にアプローチする方の効果が大きいのです。

より伝わる システム1システム2

直観的

先に

個人差なし

分析的

後で

個人差あり

動物的な心へ働きかけるには「感動・おどろき」を

 動物的な心に働きかけるには相手に「感動・おどろき」を与えることを意識してください。例えば、接遇マナーを徹底することで初来院した患者さんは「信頼できる」と感動し、従業員には当たり前のことでもありがとうを伝えることで、「認められてうれしい」というおどろきを持ちます。ぜひ実践してみてください。

コラム

スタッフのキャリアを考えませんか?

チーフコンサルタント・岩田義明

 スタッフが一通り仕事を覚え、これからというところで辞めてしまう。それも期待しているスタッフほどその傾向があるという話をよく聞きます。

スタッフが退職するのはなぜ?

 スタッフが退職を考えるのは、どんなときでしょうか。退職の理由は人それぞれですが、仕事に面白さを感じなくなったとき、このまま仕事を続けていても自分は成長できそうもないと思ったときという人は少なくありません。

 歯科衛生士という仕事は役割が明確です。そのため、院長先生もスタッフ本人も「〇〇の仕事さえちゃんとできればよい」と思ってしまいがちです。「同じことの繰り返しでいい」と思っているスタッフは残りますが、成長意欲のあるスタッフは「自分はこのままでいいのか」「新しく学ぶことがない職場はつまらない」と、転職を考え始めるかもしれません。

スタッフのキャリアアップとは?

 そもそも歯科衛生士のキャリアアップとは何を指すのでしょうか。歯科衛生士としての経験を積むことで、ベテラン歯科衛生士という評価は得られますが、いかに優秀でも歯科衛生士という枠組みの中でしか評価してもらえません。

 しかし、次のようなスキルを身につけたらどうでしょうか。患者さんにわかりやすく説明できるスキル、患者さんへ物販できるスキル、新人スタッフを指導育成するスキル、WordやExcelで資料を作成するスキル…。これらのスキルは、歯科衛生士に限らず、どの仕事であっても通用するスキルです。意欲のあるスタッフにとっては、新しいスキルが身につき、仕事の幅が広がり、成長が実感できるのではないでしょうか。

専門性をもう1つ増やせば価値が高まる

 歯科衛生士の業務経験が豊富な人と歯科衛生士業務に加え新人教育ができる人、どちらが高く評価されるでしょうか?間違いなく「歯科衛生士業務に加えて教育ができる人」です。なぜならば、そのような歯科衛生士は滅多にいないからです。

 歯科助手業務を完璧にこなしつつ患者さん用の説明資料が作成できる、受付事務業務だけでなくレセプト業務ができるという人も少ないので、高く評価されます。

 そんなに優秀になったら転職されてしまう、と心配になる院長先生がいらっしゃるかもしれません。いえいえ、心配いりません。なぜならスタッフのキャリアを考え、スキルアップをサポートしてくれるような院長先生は滅多にいませんから。

若手挑戦企画

一日放置で応募者を失う

鈴木初弥

 梅雨に入り少し気が重たい、雨嫌いな「すず」こと鈴木です。今回のコラムでは採用代行業務で感じた採用を行う際に気を付けなければならないことをお伝えしていきます。それはずばり「応募者を見逃さない」です。

 私が採用代行業務を始める前はコンサルの一部として採用のお手伝いをしておりました。夜に応募してきた方に対して次の日の夕方にご連絡したことがございます。その時にはすでに遅し。その方は違う医院さんに応募をし、そちらに行きたいと断られてしまいました。朝にしっかりと連絡をしておけば、応募者の気持ちも少しはこちらに傾いたのだろうかと思うと痛恨の極みです。

 応募者はたくさんの求人を見て応募してきて下さります。つまり、応募段階では様々な医院と比較をして吟味している状況なので、連絡が遅いのは他の医院さんを考える時間を増やしてしまうことになります。1日の連絡の遅れが命取りと言っても過言ではないのだと実感しました。

 採用代行業務では毎日最低でも朝夜と応募者管理を行っております。一日あけずにご連絡させていただいた応募者に関しましては9割の確率で面接まで進んでいます。

 せっかく応募が来ても面接までいけないということがないように、しっかりと応募者管理をすることが当たり前ではありますが、採用において気を付けなければならのだと痛感しました。

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著者紹介

コンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩田 義明

チーフコンサルタント・
中小企業診断士
村上貴洋

コンサルティング事業部
鈴木 初弥

フリーランス歯科衛生士
佐藤厚子

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