歯科経営 News Letter【8号】

歯科ワンポイント

業務改善する際の考え方とは

チーフコンサルタント・中小企業診断士 村上貴洋

歯科医院では業務オペレーションが後回しになりがち

 歯科医院では集患や接遇、従業員育成といったテーマが議題になりますが、業務オペレーション改善については後回しにされているように感じます。工場等の生産管理ほど精密に追及する必要はありませんが、物の置き場所、動線や従業員の立ち位置など、意図が感じられる程度のものはあって良いのではないでしょうか?

例えば3分の短縮で患者満足は高められる

 仮にオペレーションの改善で30分の予約枠に対して3分の時間短縮を生み出せるとします。もし、その3分を患者とのコミュニケーションの時間に使用できればどうでしょう?患者との関係性が深くなり、キャンセル率やメンテナンス継続率が改善するはずです。それは1往復で済むはずの移動を2往復している、使用頻度の高いものが分散して配置されているために都度余分な動作を必要としている、そのような状況を改善するだけでも効果があります。

改善を発想する際の考え方 ECRS

 ではどのように洗い出すのか?実は業務改善を発想するために役立つ考え方があります。「ECRS(イクルス)」というもので、Eliminate(排除)、Combine(結合・分離)、Rearrange(入替・代替)、Simplify(単純化)と改善効果が大きい順に並べたものです。

改善の着眼点 ECRS(イクルス)

① Eliminate
排除
最初に検討するべきもので、業務そのものを無くせないかという視点です。調整コストも少なく、実現できれば最も効果は大きいです。
② Combine
結合・分離
「E」の次が「C」です。まとめられないか?分けられないか?の視点です。類似の作業をまとめられるか、担当を分けた方が安定するのではないか、といった発想です。
③ Rearrange
入替と代替
「E」と「C」が終わった後に検討する視点が「R」になります。作業の優先順位を変える、もしくは外部へのアウトソーシングに任せられないかの視点で発想します。
④ Simplify
簡素化
「E」「C」「R」が終わり、最後に検討する視点が、「S」です。見直した業務の中の作業一つ一つの動作や要素をシンプルにできないか検討します。

うまく実行するコツは大人数で見直すこと

 ECRSの4要素に共通しているのは、今までのやり方について思い込みを排除して見つめ直すことです。慣習化していることから見つけることは難しいものです。1人で考えるのではなく、スタッフを巻き込んで医院ミーティング等で取り組むと効果的です。

歯科医院経営 労務のお話

コロナの感染者・濃厚接触者になったスタッフの休業補償、どうします?

コンサルティング事業部 チーフコンサルタント 岩田 義明

コロナウイルスの感染は11月に入ろうとしても、なかなか減ってきません。自分も含め、誰が感染したり、濃厚接触者になってもおかしくはありません。もし、感染者や濃厚接触者が出た場合、どのように対処するのか決めていますか?

厚生労働省HPの10月22日版の『新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)』には、感染者への対応が載っています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-1

☆コロナウィルス感染者の場合☆

 新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。なお、被用者保険に加入されている方で、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

☆濃厚接触者の場合☆

 濃厚接触者の場合は、14日間の自宅待機を要請されます。自宅でテレワークを対応ができればよいのですが、クリニックではそういう訳にもいきません。厚生労働省のQ&Aでは「労使がよく話し合って、休業中の手当の水準の設定等について、労働者の不利益を回避する努力をお願いします」、と要請があるだけで、休業手当を支払う必要はありません。

ただ、雇用調整助成金が2020年12月31日まで延長されています。濃厚接触者が休んだ月の売上が、対象となる月に比べて5%以上下がっている場合には、休業手当を支払えば雇用調整助成金が支給されます。

☆スタッフにも配慮した判断が、好循環を生みます☆

 濃厚接触者が休む場合は、休業手当を支給しなくても法律的には問題ないかもしれません。ただ、経営にあまり影響がなく、スタッフの生活に影響も少ない方法を探すことができれば、それに越したことはありません。休業手当を支払われたスタッフは、院長はしっかり自分の生活も配慮してくれたと考えます。そのスタッフは、休業手当分を支払った以上に頑張ろうとしてくれるはずです。

 

歯科衛生士コラム 

「歯科衛生士の本音」

フリーランス歯科衛生士 佐藤厚子

 クリニックの中で不満に思っていることがあっても、それを院長先生には伝えない人がほとんどだと思います。何故かと言うと、その意見を取り入れてもらえないと感じているからです。

多くの歯科衛生士は、クリニックに貢献したい、もっと良くしていきたい、と思っています。悩みに悩み、いざ先生に伝えるときは、決死の覚悟です。退職を考えていることもあるかと思います。

 過去私にも、先生に今までの不満や意見を手紙に書いて午前中に渡したことがあります。そして仕事終わりに話し合いをしました。ダメなら辞める覚悟でした。結果は、院長先生に意見を聞いてもらえ、辞める理由がなくなりました。

院長先生、歯科衛生士さんの思いを是非聞いてみてください。みんな成長したい、クリニックを良くしたいと願っているはずです。

若手挑戦企画

新宿レポート鈴木、DAになるってよ!

コンサルティング事業部 鈴木 初弥

冬が近くなり、朝なかなかお布団から出ることができない鈴木ことすずでございます。

さてさて今回のコラムから私が実際に体験したDA勤務について書きます。我が上司の村上も(株)富士経営総合センターに入社したときに歯科医院でDA勤務を体験したそうです。私も歯科医院について学ぶため、ある歯科医院でDAとして約10日間、体験勤務をさせていただくことになりました。不安な私に村上は、「初めは洗い場くらいしか任せてもらえない」と聞いておりましたので、それなら私も出来るぞという気持ちで初日行きました。

しかし初めての作業で私を待ち受けていたのは、なんとアシスト業務でした。私はいきなりバキュームを持ちドクターの脇に立つことになったのです。そもそも薬品分からぬ、器具分からぬ、治療わからぬ!!

そんな初日からスタートしたDA研修…。DAのお仕事は一筋縄ではいきません!とにかく歯科医院の忙しさと、覚えることの多さに圧倒されるばかり。はたして鈴木は1カ月間新人DAとして歯科医院勤務ができるのだろうか!?

次回は「DAは大変だよ!新人DA鈴木の奮闘記」を書きます。

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