歯科経営 News Letter 【10号】

歯科経営コラム

新型コロナ緊急宣言下こそ情報発信が大切

                                                                                                                                       チーフコンサルタント 中小企業診断士 村上貴洋

 新型コロナの第三波に伴い緊急宣言が発令されました。歯科診療にも影響が予想されます。感染予防対策の徹底や従業員に陽性や濃厚接触者が生じた際の対応手順については準備されていることと思いますが、併せて新規・既存の患者さんに向けた情報発信についても強化することをおすすめします。

新規患者に向けて

 昨春の自粛期間後の各院の新患数推移を確認すると、自粛前より新患数が増加した医院と、自粛前の水準に回復しない医院との二極化の傾向が出ています。患者さんに新型コロナ感染拡大を機に通院している歯科医院の見直しと乗り換えが生じたことが背景にあります。

 患者さんはホームページで感染予防対策を徹底している医院、近くに立地する医院、相談しやすい医院を探索します。今回の緊急宣言に合わせてホームページのコンテンツを患者さんに伝わるよう更新しましょう。例えば、感染予防対策の取り組みについてほぼ変化が無いとしても「緊急宣言に伴い改めて徹底します」との決意表明メッセージを掲載することが有効です。

既存患者に向けて

 特にメンテナンスの患者数が減ると思われますが、控えるだけでなくそのまま離脱にならないようにすることが求められます。

 対策の基本は接点を持つことです。心理学の分野では「単純接触効果」という、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した、別名「ザイアンス効果」とも呼ばれる心理効果があります。接触を途絶えさせず継続することで、関係性が高まるというものです。誰にでも昔の友人や同級生との接触が減ると関係も疎遠になってしまった経験はあると思います。

 患者さんにリーチする手段を考えるとメールかSNSが考えられます。ハガキは感染に敏感な患者さんにとってはマイナスとなりかねませんので注意が必要です。昨年春の自粛期間中に患者離脱が少なかった医院は、メールかSNSでメンテナンス関連の動画を送っていました。歯科衛生士がブラッシングについて伝える内容です。また医院の感染予防への取り組みを改めて発信することも大切です。

歯科衛生士コラム

歯科衛生士の出番はいつ?

  フリーランス歯科衛生士 佐藤厚子

 患者さんが、歯の痛みがあって来院された場合などは、先生の処置が先に必要ですが、最終的な補綴などに至る前に、しっかりとP処をする時間を設けてもらいたいです。補綴まで終わってからのP処ではクラウンなどの被せ物が歯肉の回復などでズレが出てくることがあります。さらに治療だけで終わってしまえば再治療になりかねません。急を要する治療が終わった段階で、是非衛生士さんに患者さんを渡してほしいのです。患者さんが、これ以上歯を失ったり、治療を繰り返したりしないために、衛生士によるクリーニングと衛生指導を受けてもらい、歯を大切に考えてもらえるようにするためです。衛生士さんは、早目の出番を待っています。

歯科経営コラム

院長の背中を見て、リーダーは育つ

チーフコンサルタント 岩田義明

DAリーダーへのインタビュー

 コロナ禍にもかかわらず、患者数、売上とも伸ばしている医療法人があります。3つの医院を展開するこの医療法人で、20年以上勤務している受付・DAリーダーのAさんにお話を伺いました。

誰がアシストするかにより治療の時間も質も変わる

 AさんがDAになったきっかけは、「白衣を着たくて、歯科助手の専門学校へ入学」したことでした。しかし、初めて勤務した医院では院長から言われた仕事をこなすだけで、やりがいを感じられず1年半で退職。しばらく他の仕事に就いていましたが、縁があってDAに復帰しました。

 DAに復帰。そこでは決められたDAの仕事だけでなく、歯科セミナーへ参加させてくれ、歯科や経営の知識を学ぶのを後押ししてくれ、それが嬉しかったそうです。学ぶにつれ、どのようにアシストするかにより治療時間も質も違ってくるのがわかるようになったとのことです。

リーダーの自分は2倍働く、中堅は1.5倍、新人は1倍

 現在はリーダーとして高く評価されているAさん。新人教育から中堅社員育成、コンサルテーションの他、法人の本部スタッフとして面談など幅広い業務を担当しています。

 リーダーとしての心がけを伺うと、「リーダーは2倍働く、中堅は1.5倍、新人は1倍。自分たちDAのリーダーは、人が嫌がる仕事、人が手を付けない仕事をやるようにしている。」と話してくれました。

自分からやらないと、皆やらないからね

 Aさんに「クリニックがきれいに維持されていますね」と話したところ、「院長のおかげです」というお返事でした。日頃から院長に、『手が空いたときは、手を動かして掃除しなさい。また物を動かして、その下もきれいにしなさい』と繰り返し言われているそうです。しかも、院長が自ら率先して拭き掃除をしているとのこと。

 『先生、私たちが後でやりますから』と伝えても、『自分がやらないと、皆やらないからね』と言われ、こちらもやらざるを得なくなったとのことでした。リーダーは自ら率先して行動し、背中を見せないといけないと教えてくれたのですね。

若手挑戦企画

DAは大変だよ!新人DA鈴木の奮闘記

 鈴木初弥

 年末ジャンボの夢が儚く散り、今年もコツコツと頑張っていこうと誓ったすずこと鈴木でございます。

 前回に引き続きDA体験勤務を通して私が感じたDAのお仕事の大変さを他業種と比較しながら書いていきます。今回のコラムではDAのお仕事の大変さ「忙しさ」、「患者さんとのコミュニケーション」、「覚えることの多さ」の3点のうちの「患者さんとのコミュニケーション」をテーマにお伝えします!

 DAのお仕事で大変だと感じた「患者さんとのコミュニケーション」。これは塾講師と似ております。歯科医院と学習塾の共通点はいかにコミュニケーションで相手を安心させるかではないでしょうか。歯科医院に来る患者様の全てが歯科医院を好きなわけではございません。初めは怖いと感じていたり、不安を抱えて来られる方もおります。また学習塾においても同様、勉強が好きで来る生徒さんだけではありません。志望校合格に対する不安を抱えて来る生徒さんもいます。   

 歯科医院、学習塾どちらも楽しいなどのプラスの感情ではなく、不安などのマイナスの感情を持って来られる方が多いです。いかに安心してもらい、また来たいと思ってもらえるか、患者さんの年代や状況に合わせて口調や声の大きさ等を変えたり、患者さんのことを知るために雑談を混ぜたりなどコミュニケーションの工夫が大切であり大変だと感じました。

 是非、コミュニケーション能力に優れたDAさんが皆様の医院にいらっしゃいましたら、初診カウンセリングなどを任せてみて下さい。

 

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著者紹介

コンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩田 義明

チーフコンサルタント・
中小企業診断士
村上貴洋

コンサルティング事業部
鈴木 初弥

フリーランス歯科衛生士
佐藤厚子

歯科経営 News Letter

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